1.災害後にアパートから出て行ってくれと言われる(賃貸借契約)
見たところそれほど大きな被害がないので、水回りなど少しだけ修理してくれれば、これからも住み続けられそうなのに、大家さんからかなり強硬に出て行って欲しいと言われて当惑している。
→アパートの住民も大家さんも共に被災者で、大家さんの言い分もよくよく聞けば必ずしもアコギなわけでない場合もある。住宅や被害、また、アパートの経営状況による個別性が高く、一方からの法律相談では解決しづらいが、双方が話しあえば解決できる割合が高い。
2.お隣さんの壁や瓦が原因で住宅や自動車に被害が出た(相隣関係)
主観的には相手が加害者でこちらが被害者に見えるが、相手は災害が原因だからお互い様と逃げようとするといったパターン。上部階のマンションから水漏れがあったというのも類似のパターンとしてある。
→法律論としては、状況が不可抗力であったかどうかが争われる可能性が高いが、当事者としてはお互い様とは言え、相手が強硬すぎて話しあいづらい、拳の下げ時を探したいという場合も多い。また、災害以前からトラブルがくすぶっていた場合も多く、当事者のみでは解決がしづらい。双方被災者であり、一方だけが「正しさ」を主張するには、他の近隣からの視線も気になるという状況がある。
3.災害後のリフォームがずさん(建築関係)
災害後に建築業者へのニーズは殺到するが、一部その機会に乗じようとした技術力のない業者も入り込んできて、契約後あるいは施行後にもめる。
→民間調停(ADR)では、法律家と建築士が一緒に現地を検証(現地調停)するなど、フットワーク軽く実質的な話し合いが持てることがある。
4.災害を理由に雇用を打ち切られた(雇用関係)
取引先のラインが止まって仕事がなくなったという理由で、解雇された。
→災害に乗じて、不当な扱いをされている気がするといった言い分を遡上にのせて、双方で誠実に話し合える場をつくる。金銭解決や、他の就業機会の模索なども可能。解決できないときの他の選択肢も見えてくる。
※法律相談に比べたメリット
※裁判に比べたメリット
※災害ADRの特徴(一般ADRとの違い。弁護士会ADRの場合)
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